マカイラ様

更新日 2025/12/29

技術がどれほど革新的でも、既存の法律や制度の壁に阻まれ、社会実装が進まない――。これは多くのディープテック・スタートアップが直面する課題です。

株式会社JOYCLEは、パブリックアフェアーズ(政策渉外)の専門コンサルティングファーム・マカイラとタッグを組み、この壁を突破しようとしています。

本記事では、マカイラコンサルタントの清水悟さんに、JOYCLE支援の決め手、ルールメイキングにおける「データ」の重要性、そして両社が描く「ゴミが資源に変わる未来」について、代表・小柳裕太郎がインタビューしました。

パブリックアフェアーズとは?――「ロビーイング」を超えた合意形成

小柳:まず、マカイラさんが手掛ける「パブリックアフェアーズ(PA)」について、改めて教えてください。

清水:一般的には「ロビーイング(政治・行政への働きかけ)」をイメージされることが多いですが、私たちが考えるPAはもっと広い概念です。政治・行政だけでなく、市民社会やメディアなど幅広いステークホルダーとの合意形成を通じて、「一社の利益ではなく、社会全体の便益(ソーシャルグッド)」を目指す活動です。

特にスタートアップの新しいサービスは、既存の制度においてそもそも想定されておらず、法的な位置付けが曖昧であったり、時として過度に規制されたりするケースがあります。社会課題解決型のビジネスこそ、技術だけでなく「社会との対話」が必須なんです。

なぜJOYCLEなのか――「ソーシャルグッド」と「現場の熱気」

小柳:マカイラさんは「案件を選ぶ会社」としても知られていますよね(笑)。JOYCLEを選んでくださった決め手は何だったんでしょうか?

清水:偉そうに聞こえたらすみません(笑)。私たちは「Social Good(社会への便益)」「Innovation Focus (イノベーション特化)」「No Rent-Seeking(利権を作るな)」の3点を基準にしています。

JOYCLEが取り組む「資源循環」は、グリーントランスフォーメーション(GX)や生物多様性と並び、環境政策の最重要ピースです。特に「分散型」のアプローチは、日本の地域課題解決に不可欠だと感じました。

また、実際に見学会や懇親会に参加した際、JOYCLEメンバーだけでなく、連携する産廃事業者さんたちの「業界を良くしたい」という熱気がすごかった。「これは応援しないといけない」と直感しました。

JOYCLEの課題――「燃やさない」のに「焼却炉扱い」?

小柳:具体的に、今どのような課題に取り組んでいるか、お話しいただけますか。

清水:JOYCLE BOXは「「ごみを運ばず、燃やさず、資源化する装置」ですが、現行の法体系では位置づけが曖昧です。そのため、導入したい事業者や自治体が二の足を踏んでしまう。この「法的なグレーゾーン」を整理し、安心して導入できる環境を作ることが私たちのミッションです。

小柳:北海道の産廃業者さんも、「運搬距離が長すぎてドライバー不足が深刻。分散型インフラがないと業界が維持できない」と切実に仰っていましたね。

ルールメイキングの鍵――「情熱」と「データ」の両輪

小柳:規制緩和というと、マカイラさんが手掛けられた「電動キックボード」の事例が有名です。あの成功から、JOYCLEが学べることは何でしょうか?

清水:一番のポイントは「ファクト(事実)とデータ」です。

電動キックボードの時も、「危ないのではないか」という感情的な反発がありました。そこで私たちは、感情論ではなく、実証実験を通じて「どの程度の頻度で事故が起きるのか」「どういう場面が危険なのか」というデータを徹底的に積み上げました。

行政の方々も、意義には共感してくれても、それだけでは政策決定できません。「この技術が社会実装されると、国の成長戦略にどう貢献するのか」を、数字とロジックで示すことが不可欠です。

共創で描く未来――パブリックアフェアーズを「スタートアップの新たな必須科目」に

小柳:最後に、マカイラさんと共に目指したい世界観を教えてください。

清水:多くの人は、法律や制度を「所与のもの(最初からあり、変えられないもの)」と捉えがちです。でも、ルールは人が作るものであり、みんなでより良く変えていけるものです。

JOYCLEのプロジェクトを通じて、「分散型インフラが当たり前に地域を走っている風景」を実現したい。そして、パブリックアフェアーズがスタートアップの経営にとって「当たり前の必須科目」になるような文化を、一緒に作っていきたいですね。

撮影場所:WeWork Hanzomon PREX South

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