【JOYCLE BOARD導入事例】沖縄のごみ問題を解決する、小型処理装置の実用化に向けたPoC(やえやま環境開発様)

更新日 2024/09/10

沖縄県石垣市では、観光客数の増加に伴う「ごみ問題」が深刻化しています。やえやま環境開発様と実施したPoCによって、小型処理装置でのごみ処理が有効だと分かりました。本記事では、やえやま環境開発の大城取締役に話を伺い、沖縄のごみ問題解決の糸口を探ります。

沖縄のごみ問題を解決したい

──まずは、やえやま環境開発様の事業内容を教えてください。

赤山様:当社は沖縄県石垣市に事務所を構え、産業廃棄物および事業系一般廃棄物の収集・運搬や、廃タイヤの収集・運搬、廃油の回収業務等を行っています。石垣市内の事業所やホテル、レストランから出るごみを定期的に回収し、ごみの排出量に応じて費用をいただくというビジネスモデルになっています。

──昨今、石垣島では「ごみ問題」が深刻化していると聞きます。

大城様:石垣島への入域観光客数が大幅に増加したことにより、ごみ焼却施設の運転計画を超えるほど、ごみの量が増加しています。焼却施設の老朽化や、埋め立て処分の限界も叫ばれており、根本的な解決策が求められている状況です。

赤山様:ごみを島外に持ち出すためにはコストがかかりますし、そもそも持ち出しをやってくれる業者はいません。苦肉の策として、石垣市は埋立処分地の周囲を土砂でかさ上げし、塀を立てて、ごみの受け入れ容量を確保しようとしています。ただ、この方法もいずれ限界がきます。いつまでもこの状態を繰り返すわけにはいきません。

──全国平均では大型焼却炉の方がESG貢献効果が高いといわれています。当社とのPoC(概念実証)を通じて、離島の多い沖縄エリアでは、小型処理装置が有効だと判明しました。

赤山様:小型処理装置の実用化は、沖縄のごみ問題解決につながると思います。ただ、小型処理装置を使って産廃処理を行う場合、沖縄県の許認可が必要になります。

大城様:残念ながら、小型処理装置が認可されているケースはありません。当社の小型処理装置も、「自社のごみを自社で処理する」という形でのみ使用しています。

モニタリングや評価の難しさ

──許認可に必要なことは何でしょうか?

大城様:大前提として、機械の性能の良さが挙げられます。「ごみ処理に有効ですよ」と証明できれば、私たちが回収しているごみも処理できるようになるでしょう。そのために必要なのが、性能の良さを証明するためのデータであり、モニタリングするためのツールです。

──2024年2月から、当社が開発したアップサイクル構築支援サービス「JOYCLE BOARD」のPoCを実施させていただいていました。このたび有償での契約に至りましたが、契約の決め手があれば教えてください。

大城様:当社の事情ですが、導入した小型処理装置に不備があり、修理の必要性に追われています。現時点でデータを使う目処は立っていないのですが、将来的にCO2削減量という“材料”を得られることは重要だと思います。

赤山様:JOYCLEさんの情報やノウハウにも期待しています。データ推移のモニタリングや評価に関して、当社だけではどう動いていいか分かりません。未来を見据えて、協力してやっていくのがベストだと考えています。

──PoCで印象に残ったエピソードなどはありますか?

大城様:とりあえず小型処理装置は購入したものの、現場での使用法は定まっていませんでした。データをとろうにも、鉛筆で記録したり、いちいち写真を撮ったり。「JOYCLE BOARD」で記録の自動化が可能になりましたし、常時接続のカメラをとりつけていただくなど、運用面でもかなりサポートしていただきました。

小型処理装置の実用化に向けて

──これまでも他社とのお取引はあったかと思います。JOYCLEと他社の違いがあれば教えてください。

大城様:扱っている専門性が異なるため、なかなか違いを説明するのは難しいのですが……。一般的な業者は「売って終わり」ということが多いですよね。もちろん機械の保守契約は結んでいましたが、どうしても販売でひと区切りになります。ごみ問題は長く付き合っていくべき課題なので、JOYCLEさんのように、当社の事業と並走しながら課題解決に向き合っていただけるのは大変ありがたいです。

──「JOYCLE BOARD」への要望はありますか?

大城様:さらに使い勝手が良くなるといいですね。例えば、細かく分かれている産業廃棄物項目ですが、やや種類が多くてモニタリングが難しくなっています。項目を再検討いただくか、誰にでも使いやすいインターフェースにするか。ぜひ検討いただきたいです。

──ありがとうございます。最後に、今後実施したいことがあれば教えてください。

赤山様:私は竹富町の出身で、石垣島だけでなく離島のごみ問題を何とかしたいと考えています。小型処理装置が実用化に至ることで、「島のごみは島で処分する」という流れをつくることができます。今後もJOYCLEさんの力を借りて、一緒に解決に向けて進めていけたら嬉しいです。

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