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離島における廃棄物処理の環境課題の解決を目指す。沖縄県でESG貢献効果を検証
株式会社JOYCLE(代表取締役:小柳 裕太郎、本社:愛知県中村区、以下「ジョイクル」)は沖縄地域におけるごみ処理にかかる実証実験で、既存の廃棄物処理方法である船舶・車両を使用してごみを運搬し、本土の大型焼却炉を使用して処理するのと比較し、船舶・車両で運搬せず沖縄地域内に小型資源化装置を設置して処理することで、ESG負荷削減量が大きい結果が実証されたことを発表いたします。
なお、本実証実験で効果測定に用いた「aiESG分析」は、一般に拡張多国間連関分析(Multi-Regional Extended Input-Output Analysis: MREEIO分析)と呼ばれる分析手法を独自に発展・拡張した分析であり、九州大学と株式会社aiESGにより共同で開発された試算手法です(知財申請中)。
本実証実験の分析は、九州大学工学部主幹教授の馬奈木俊介氏の監修のもと、進められました。
【当社の事業について】
当社は廃棄物の処理課題を解決するには分散型のインフラも必要と考え、「運んで燃やす」大型焼却炉だけでなく、「運ばず」資源化できる小型アップサイクルプラント、ならびにESG貢献効果の高い小型焼却炉の運用に着目し、事業化を推進してまいりました。
また当社は、九州大学をはじめ、産廃処理事業者などのステイクホルダーにご協力をいただき開発した、小型アップサイクルプラント特化型データ管理プラットフォーム「JOYCLE BOARD」の提供を開始しております。今後も全国各自治体の特徴に応じた廃棄物処理問題を解決するべく、実証実験を推進していく予定です。
この度の沖縄地域は選考して実証実験を開始しており、この度の発表に至りました。
【沖縄地域における実証実験結果について】
沖縄地域では現在、廃棄物処理は島を跨いで行われるのが一般的で、島間にて廃棄物を船舶輸送しています。
しかしながら、船舶による重油使用は温室効果ガスや大気汚染物質の排出量が多いことで知られており、ESG負荷の観点から運用の見直しが求められておりました。
この度の実証実験では現状の手法における大型焼却炉(本土へ船舶・車両で運搬して焼却)でのごみ処理量1トンあたりのESG負荷削減量を定量化し、小型資源化装置を使用した場合と比較しました。
その結果、全国平均では大型処理装置のほうがESG貢献効果が高いものの、船舶と車両で廃棄物を本土に運び、燃やして、埋め立てている沖縄地域などの島嶼地域においては小型資源化装置を活用した当社サービスが有効であることが示唆されました。
【本実証実験結果から今後の展開】
当社の事業展開は、沖縄地域における廃棄物処理問題の解決に寄与するだけでなく、世界全体における(特に島嶼地域における)廃棄物処理の考え方に影響を与える先行事例となると考えます。
当社ソリューションにおいては、従来にない新たな技術を用いた再資源化やエネルギーの課題を解決することが見込まれており、当初においては小型資源化装置との親和性が大きい沖縄地域での事業展開のほか、都心部での難燃性の高いごみの分散処理によるESG貢献効果も算出し、都市計画に役立つインフラデータを提供していく所存です。
【馬奈木 俊介氏(九州大学工学部主幹教授/都市研究センター長、ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター長)】
離島地域では、船舶輸送による重油使用が環境・人権負荷の原因となって来ました。分散型廃棄物処理装置の導入は、輸送に依存しない廃棄物処理体制を構築します。これにより、環境および人権に対する負荷が大幅に軽減されます。
同時に、サプライチェーンの効率化と安定化が実現し、地域経済の持続可能な発展が期待されます。さらに、ごみの再資源化は、廃棄物を有価物として再利用することの重要性を再認識させます。この取り組みは、地域内での循環型経済の構築を促進します。
今回の沖縄地域での事例は、他の離島地域や地方都市における廃棄物処理のモデルケースとなり得ます。
今後もさらなる技術革新と実践的なアプローチを通じて、持続可能な廃棄物処理の実現に向けた取り組みを続けてまいります。
<経歴>
福岡県立修猷館高等学校卒(平成6年)、九州大学工学部飛び級中退(平成9年)、九州大学大学院工学研究科修士卒(平成11年)、米国ロードアイランド大学大学院博士卒(経済学専攻)。Ph.D.(経済学)。米国サウスカロライナ州立大学ビジネススクール講師、東京農工大学共生科学技術研究部助教授、横浜国立大学経営学部准教授、東北大学環境科学研究科准教授を経て、2015年より、九州大学大学院工学研究院都市システム工学講座教授。経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェローを兼任。2020年より九州大学総長補佐。第16回日本学術振興会賞受賞。第25期日本学術会議会員。
国連「新国富報告書2018」代表、国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」代表執筆者、国連「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)統括代表執筆者、 OECD(経済協力開発機構 貿易・環境部会)副議長、2018年・世界環境資源経済学会共同議長、ドイツ・The Helmholtz Alliance ENERGY-TRANS特別教授、英国・リーズ大学チェーニー上級フェロー、豪州QUT客員教授、仏・ISEGマネジメントスクール客員教授、慶應義塾大学特別招聘助教授、東京大学客員教授などを歴任。
【小柳裕太郎(株式会社JOYCLE代表取締役)コメント】
この度、九州大学様との連携により、今後日本や海外で必要となりうる分散型インフラが、大型焼却施設に運んで燃やす場合と比較し、離島の多い沖縄においては高いESG貢献効果を発揮しうることを明らかにできました。
当社は今後も、ごみの種類・量・エリアによって、分散型インフラがどのような環境・ ESGへの影響を及ぼしうるかのデータを収集し、九州大学様と分析を重ねることにより、いかなる条件でも快適にお使い頂け、環境・ESGへの貢献をしうるDX化された小型アップサイクルプラントの開発、新しい分散型インフラの創出を実現させていきたいと考えています。
ドライバー不足・ユーティリティ費用の向上・焼却施設閉鎖によるごみ運搬距離の長距離化が深刻になっている日本の静脈産業や、埋め立てごみからでるメタンガス問題の解決が必要になる海外各地において、当社の目指す分散型インフラで「資源と喜び(JOY)が循環(CYCLE)する社会の創造」に寄与したいと思います。
この度、沖縄での実証事業については沖縄県様・株式会社eiicon様主催の「Boost Up OKINAWA 2023」(Boost Up OKINAWA 2023 (eiicon.net))・公益財団法人大阪産業局様主催の大阪市カーボンニュートラル(CN)等新技術ビジネス創出支援事業(大阪市 カーボンニュートラル(CN)等、新技術ビジネス創出支援事業 | OSAKA INNOVATION HUB (innovation-osaka.jp))に採択頂き、多大なるご支援を頂きましたこと、また大阪産業局様に併せて御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。
株式会社 JOYCLEについて
当社は小型アップサイクルプラントに関するプラットフォームの提供を通じ、当社ビジョンである「資源と喜び(JOY)が循環する(CYCLE)する社会の創造」を目指します。
事業名 株式会社 JOYCLE(ジョイクル)
代表 小柳 裕太郎
創業 2023/ 03
事業内容
小型アップサイクルプラントに特化したコンサルティング・データプラットフォームサービスの提供
所在地
名古屋本社
〒453-0872
名古屋市中村区平池町4-60-12 グローバルゲート
東京支社
〒105-0001
東京都港区虎ノ門1丁目17番1号
虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階
環境エネルギーイノベーションコミュニティルーム