リクルートで営業企画、SaaSスタートアップでCS部門のマネージャー・執行役員を経験し、2023年よりVC・ANOBAKAに参画した小田紘生さん。現在は投資担当として、ディープテック領域や社会課題に挑むスタートアップに向き合う日々を送っています。
本記事では、小田さんがJOYCLEという“社会インフラを変える事業”に出資を決めた理由、投資家としての視点から見た可能性、そしてこれからの期待について、代表・小柳裕太郎がインタビューしました。
出会いは、地域とスタートアップをつなぐイベントから
小柳:今日はありがとうございます。最初に出会ったときのこと、覚えていらっしゃいますか?
小田:もちろんです。最初は僕の地元・広島ゆかりのスタートアップイベントでした。そのときは簡単な立ち話だったと思いますが、印象に残っていました。
その後、葛西(ANOBAKA)の口から再びJOYCLEの話題が出て。「あ、あのときの!」と思い、改めて連絡を取らせてもらいました。調べていく中で、「これは社会的にとても重要なテーマだ」と感じるようになりました。

投資の決め手は、「事業」よりも「人」
小柳:JOYCLEって、対象が「ごみ」なんですよね。投資テーマとしては、ちょっと泥臭い印象もあると思うんですが…。
小田:正直、初見ではそう思いました(笑)。しかも廃棄物処理の世界って、自治体や医療介護といったステークホルダーが多く、装置もハード寄り。難易度の高い事業です。
でも、だからこそ魅力的だとも思ったんですよね。簡単に参入できないぶん、社会的インパクトが大きい。そこにしっかり挑んでいる姿勢が伝わってきた。
決め手は、やっぱり小柳さんの「人としての強さ」でした。巻き込み力が圧倒的で、自治体、病院、投資家、あらゆる立場の人ときちんと信頼関係を築いていく。そういう動きができる人は、そう多くありません。

「装置を売る」から「インフラを支える」へ
小柳:僕らのビジネスは一見すると「装置を売るモデル」に見られがちなんですが、本当はそれ以上のものを作ろうとしていて。
小田:そう。最初に話を聞いたときは、「売り切りビジネス」として見える構造もありました。でも、本質は“新しいインフラ”をつくる事業なんですよね。
最初は装置の量産と導入を通じて実績をつくる。そのあとで、データやメンテナンス、運用支援といった価値を重ねていく。最終的には、まちや病院にとって「なくてはならない存在」になっていく──そのストーリーが明確に描かれていたのが印象的でした。
現場での気づきが、確信に変わった
小柳:見学会にも来ていただきましたよね。現場での印象って、いかがでしたか?
小田:石垣島の産廃処理企業さんとお話ししたときのことが忘れられません。大規模施設が存在せず、ごみを内地まで輸送できない。最悪の場合、浜辺に埋めるしかない。そんな現実がある。
JOYCLEの装置を見て「まさにこれが欲しかった」と言っていた姿が、強く記憶に残っています。
小柳:現場の生の声って、やっぱり力がありますよね。技術的な説明よりも、現場の切実さを共有できるほうが、よほど伝わる気がします。

「サステナ」だけでは投資できない時代に
小柳:最近「ESG投資が停滞してる」なんて話も聞きますけど、そのあたりVCの肌感覚としてどうですか?
小田:確かに、以前ほど“サステナだから投資しよう”というムードではなくなっています。実際に儲かるか、スケールするか、社会に実装できるかが問われる。
その点で、JOYCLEは「経済合理性」と「社会性」を両立している希少な存在。社会に良いだけでなく、実際に顧客のコストを下げ、現場オペレーションを改善する。つまり、選ばれる理由がきちんとあるんです。

ANOBAKAの投資スタイルと、JOYCLEへの支援
小柳:あらためてANOBAKAさんと組めて良かったのは、事業のフェーズに合った関わり方をしてもらえることだなと感じています。
小田:ありがとうございます。我々は「コミュニティVC」として、投資先同士、LP、事業会社、専門家、あらゆるリソースをつなぐことを意識しています。
また、出資先の多くが初めての起業家であることも多いので、株の設計、契約、資本政策の整理、次の資金調達の道筋まで、一緒に手を動かして支援するのがスタイルです。
最後に
小柳:では最後に、JOYCLEに関心を持ってくださる方々へ、メッセージをお願いします。
小田:JOYCLEの挑戦は、まだ道半ば。でも、地方や医療現場、介護施設が直面している“静かだけど深刻な社会課題”に、まっすぐ向き合っている。
その挑戦に本気で取り組む起業家と出会えたことが、僕にとっても大きな財産です。もしこの領域に興味がある方がいれば、ぜひ現場を見てみてほしい。そして、必要性と将来性を感じたなら、ともに盛り上げていきましょう!
