【協業事例】医療廃棄物の課題を解決する、新たな廃棄物処理ソリューション(株式会社エラン様)

更新日 2025/02/27

株式会社エランは、手ぶらで入退院できるシステムを全国に広げ、病院経営の効率化と患者の負担軽減を実現し、その過程で多くの課題を目にしてきた。

医療現場では毎日大量の廃棄物が発生するが、その適切な処理も課題のひとつだ。特に感染性廃棄物の処理には厳格なルールがあり、産廃コスト負担として重くのしかかるほか、処理施設への輸送にかかる環境負荷の問題も無視できない。

昨今、こうした廃棄物処理課題に対し、持続可能な解決策が求められている。 本インタビューでは、医療機関・介護施設をステークホルダーに持つ株式会社エランの執行役員社長室長・事業開発本部長の原秀雄様と、JOYCLE代表・小柳裕太郎が、両社の提携に至るまでの経緯と双方の強みを活かした今後の展望について語った。

──まずは、株式会社エランの事業内容について教えてください。

原様:株式会社エランは、入院時の手間を減らすサービスを提供しており、現在、日本全国31拠点で展開しています。
具体的には、入院時に必要な寝具や衣類、タオル類、アメニティ用品などをパッケージ化し、レンタルとして提供することで、患者様やそのご家族の負担を大幅に軽減しています。

従来、家族が病院へ持参する必要があったものをすべて病院側で手配できるため、遠方からの入院や緊急入院の際にも安心して利用いただけます。また、病院側にとっても、患者ごとに個別管理する手間が省け、院内業務の効率化につながっています。

──具体的にはどのようなサービスを提供されているのでしょうか?

原様:入院患者様向けに『手ぶら入院』を実現するためのレンタルサービスを提供しています。寝具、衣類、タオル類、アメニティセット、スリッパ、日用品などを一括でレンタルできるプランを用意しています。また、病院ごとに異なるニーズに応じて、医療機関専用の衛生用品やリネンサービスを提供することも可能です。

特に、季節ごとの衣類の入れ替えや、患者様の病状に応じた衣類の変更にも対応しており、長期入院の方々にも快適に過ごしていただけるよう工夫しています。

さらに、ご家族の負担を軽減するために、洗濯不要で清潔な衣類やタオルを定期的に補充する仕組みを導入しており、患者様が常に快適な状態で療養できる環境を整えています。

──実際に導入された病院や患者さんからはどのような声がありますか?

原様:患者様からは『入院に際して必要なものを事前に揃える負担がなくなり、すぐに治療に専念できた』という声を多くいただいています。
また、遠方からの入院の際にも、家族が何度も持ち物を届ける必要がなくなることで、精神的・時間的な負担が軽減されたという意見もあります。

病院側からは『衣類やアメニティの管理業務が大幅に削減され、看護師やスタッフが本来の業務に集中しやすくなった』という評価をいただいています。

また、リネン類や衣類の一括管理により、病院内の衛生管理が向上し、感染症予防にも寄与しているという声もあります。

 

環境負荷を削減する新たなソリューション開発に取り組む

── 医療機関では大量の廃棄物が発生し、その処理方法が環境に与える影響も無視できません。感染性廃棄物の適切な処理には高いコストがかかり、従来の焼却処理ではCO2排出量が増加するという課題もあります。

こうした背景を踏まえ、持続可能な廃棄物処理の仕組みが求められています。

小柳: 入退院にまつわる病院運営の効率化に加えて、環境負荷の低減にも意欲的に取り組まれているとお聞きしました。

原様:おっしゃる通りです。病院や介護施設では、毎日大量の紙オムツや医療廃棄物が発生しており、その適切な処理は避けて通れないテーマです。また、環境への負荷を軽減しながら、コスト面でも負担を抑える必要があります。

これまでの処理方法には、いくつかの課題がありました。例えば、臭いや音の問題により、院内での処理が難しいケース、また産廃コストが年々増加しており、医療機関や介護施設の経営に大きな負担が発生するなどです。さらに、産廃の許認可や法制度の問題、エリアごとに処理ルールが異なり、事業の拡張が難しいという課題もありました。

医療機関・介護施設をステークホルダーに持つ当社としては、是非JOYCLEとともに新たな社会共通価値を作り出していきたいという強い思いがあります。JOYCLEが提供する装置とデータ可視化サービスを見学し、課題解決の兆しを実地確認できたことが良い機会となりました。

──JOYCLEとしては、どのような技術でこの課題にアプローチしているのでしょうか?

小柳:JOYCLEは、医療廃棄物や産業廃棄物の処理をより効率的かつ環境に優しいものにするために、独自の技術を開発しています。その中心にあるのが JOYCLE BOXJOYCLE BOARD です。

JOYCLE BOX は、高温熱処理によって廃棄物を安全に無害化し、排気の有害物質も無害化できます。今後は発生する熱エネルギーを電力や暖房として再利用していくことも計画中です。病院や介護施設の敷地内にも設置しやすいコンパクトな設計で、従来の大規模焼却施設に依存せず、廃棄物処理の負担を大幅に軽減します。

JOYCLE BOARD (特許出願済み)は、廃棄物処理のデータをリアルタイムで収集・分析し、施設ごとの廃棄物発生量や処理状況を可視化するシステムです。これにより、病院が適切な処理計画を立てやすくなり、CO2排出量の削減効果を数値化することで、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営にも貢献できます。また今後エラン様と医療機関向けの装置レンタルや保守・運営を行っていく際にも、装置の安全稼働の確認や適切なメンテナンス管理にもお役立て頂けます。

(イメージ)

──それによって、どのような効果が期待できますか?

原様:これらのソリューションを知った時、施設内で処理できることで、輸送コストの削減やCO2排出量の抑制につながるのではないかと考えました。従来、医療廃棄物は専門の業者が収集し、焼却施設へ運ぶ必要がありましたが、施設内で処理できれば、輸送回数を削減し、コストや環境負荷を大幅に低減できます。

また、感染性廃棄物の管理に関しても大きな利点があります。
現在、多くの病院では、感染性廃棄物を一時的に保管するスペースを確保し、適切な保管状態を維持しなければなりません。しかし、JOYCLE BOXを導入することで、廃棄物を即時処理でき、院内の衛生環境を向上させることができます。特に、介護施設や小規模な医療機関では、廃棄物の長期保管によるリスクを減らし、安全な環境づくりに貢献できると考えています。

──データ管理においても、新たな取り組みが想定されるようですね。

小柳:そうなんです。 JOYCLE BOARDは、廃棄物処理のデータをリアルタイムで可視化し、どの施設がどれだけの廃棄物を出して、どれだけ削減できたのかを定量的に示せるシステムです。これによって、病院や施設ごとに廃棄物管理を最適化し、環境対策の一環としても活用できます。

持続可能な廃棄物処理の新時代へ

──今後、エラン様とJOYCLEが連携して目指す方向性について教えてください。

小柳:廃棄物処理は社会全体の課題なので、産廃業者や自治体と連携しながら、より効率的な仕組みを構築していきたいです。特に、新型装置のデリバリー体制を強化し、医療機関・介護施設ごとに最適な運用方法を確立することが重要だと考えています。

原様:そうですね。医療・介護現場では、誰がどのように廃棄物処理を担うのかが大きな課題です。そのため、新型装置の導入だけでなく、それを適切に運用する人材や仕組みの整備も不可欠です。JOYCLE様との連携により、導入後のオペレーションをスムーズにする取り組みも進めていきます。

また、自治体との連携も非常に重要です。医療廃棄物の処理インフラが不足している地域では、輸送コストや処理能力の限界が課題となっています。自治体と協力することで、地域ごとの最適な廃棄物処理ソリューションを導入し、環境負荷の低減を推進していく計画です。

小柳:日本国内で培ったノウハウを活かし、将来的には海外展開も視野に入れていきたいですね。特に、廃棄物処理インフラが未整備な新興国では、この技術が大きな価値を持つのではないかと考えます。当社の技術と御社の医療機関ネットワークを活用し、データを基にした運用最適化も進めながら、廃棄物処理課題の解決を実現したいと思っています。

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<結び文>今後は、JOYCLEの革新的な技術とエランの広範な医療機関・介護施設ネットワークを組み合わせることで、全国の医療・会議施設へこのシステムを展開していく予定だ。さらに、データを活用した可視化や最適化を推進し、施設ごとの運用改善にも貢献していく。

両社が協力することで、環境問題と医療機関の国内外の課題を同時に解決する新たな未来の創出を目指す。

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