合同会社縄文企画様

更新日 2026/01/14

年間100万人以上が訪れる日本有数の観光地、石垣島・八重山諸島。美しい海が人々を魅了する一方で、漂着ゴミや島内処理の限界という深刻な課題を抱えています。

2019年に設立された合同会社縄文企画は、「ピンクの袋」プロジェクトなどを通じて、観光客を巻き込んだ新しい環境保全モデルを構築してきました。

本記事では、合同会社縄文企画 代表の田中秀典さんに、JOYCLEとの連携に至った経緯、初号機搬入時の緊迫したエピソード、そして“観光×テクノロジー”で描く資源循環の未来について、JOYCLE代表・小柳裕太郎がインタビューしました。

「ピンクの袋」プロジェクトの挑戦――「観光客の1%が動けば島が変わる」

小柳: まず、縄文企画さんが取り組まれている「ピンクの袋」プロジェクトについて教えてください。

田中: 石垣島を訪れる観光客の方に、専用の「ピンクの袋」を持ってビーチに行ってもらい、遊びながらゴミを拾って持ち帰ってもらうプロジェクトです。拾ったゴミを指定場所に届けると、感謝状と記念ステッカーをお渡ししています。

現在、月間で約300人の観光客が自発的に参加してくれていますが、目標は観光客の1%にあたる「年間1万2000人」。ここまで広がれば、島に来た人が当たり前のように袋を持っている景色が生まれます。リゾートホテルで管理されたビーチだけでなく、自分たちの足で裏側の自然に触れ、何かを感じてもらう。「観光客も、島の人も、地球もハッピー」な三方よしの仕組みを目指しています。

「ゴミ拾いを“対処療法”で終わらせず、多くの人を巻き込むエンターテインメントへ変えていく」――これが私たちの原点です。(田中)

なぜJOYCLEだったのか――「過去の豊かさ」を未来へつなぐ技術

小柳: JOYCLEとの連携を決めた背景には、どのような想いがあったのでしょうか?

田中: ある恩人からいただいた「僕らが拾っているのはゴミじゃない。過去の豊かさだ」という言葉が、私の活動の軸にあります。漂着ゴミは、かつて誰かの暮らしを豊かにしたものであり、感謝すべき対象だと。

しかし、離島の現実は過酷で、拾っても拾っても埋立地は逼迫し、島外への輸送コストもかかる。拾うだけでは限界があります。

「過去の豊かさ(ゴミ)」を、JOYCLEの熱分解技術で炭や資源に変え、再び「未来の豊かさ」へと変換する。このビジョンが合致したことが最大の決め手でした。

JOYCLE BOX初号機を竹富島に搬入――「クリアランス10cm」が産んだ連帯感

田中: 先日、環境領域で事業を営む企業、そして自治体の方々に当社のゴミ拾いを石垣島で体験いただき、その後実証実験のため竹富島へJOYCLE BOX初号機を搬入しました。

その時の様子も、まさに「ドラマ」でしたね。

小柳: 本当にヒリヒリしました(笑)。群馬から運んできて、いざフェリーへ積載するという時、JOYCLE BOXの上部と船の天井の隙間がわずか10cmしかなかったんです。「ここでぶつけたら会社が終わる」という緊張感の中、ギリギリで収まった瞬間は忘れられません。

田中: あの現場で、小柳さんやJOYCLEメンバー、現地企業の方々をはじめチーム全員が汗をかき、リスクを共有して乗り越えた姿を見て、単なる発注・受注の関係を超えた「同志」としての絆が生まれたと感じました。

データによる可視化――「感情だけでなく、数字でマネジメントする」

小柳: 今後、JOYCLEのIoT技術をどう活用していきたいですか?

田中: これまでの環境活動は、どうしても「想い」や「感情」が先行しがちでした。しかし、JOYCLE BOXは処理量や生成された資源のデータを可視化できます。「いつ、誰が、どれだけ処理し、何に生まれ変わったか」。このデータを持つことで、企業や自治体に対してポジショントークではない、事実に基づいたマネジメントが可能になります。感情とデータの両輪で、資源循環を動かしていきたいですね。

田中さん個人の原体験――「2000日の継続と、絶望の先に見えたもの」

小柳: 田中さんは毎日ビーチクリーンを続け、もうすぐ2000日になると伺いました。

田中: はい。最初は「ビーチクリーン」として始めましたが、拾っても翌日にはまたゴミが漂着する現実に、何度も絶望しました。しかし、視点を広げてみると、海も川も街もすべて繋がっていることに気づき、「アースクリーン」へと意識が変わりました。

拾うことは対症療法に過ぎないかもしれない。

でも、この活動を通じて「元栓」を閉めるための仲間を増やし、意識を変えていくことには意味がある。JOYCLEとの連携は、その「元栓」へのアプローチの一つだと確信しています。

共創で描く未来――「離島と渋谷は、実は同じ課題を抱えている」

小柳: これからJOYCLEと一緒に、どんな景色を作っていきたいですか?

田中: 実は「離島」と「渋谷」の課題は似ているんです。住んでいる人だけでなく、外から来た人がゴミを出して帰っていく構造が同じだからです。

石垣や竹富という離島で「来た時よりも美しくして帰る」というモデルを確立できれば、それは渋谷のような都市部、ひいては海外へも展開できるはずです。

JOYCLE BOXでアップサイクルされた資源が、地域の中で循環し、それが新たな価値を生む。そんな世界標準のモデルを、この島から発信していきたいです。

合意した“次の一手”――竹富島での実証実験

縄文企画とJOYCLEは、竹富島に設置されたJOYCLE BOXを活用し、回収した海洋プラスチックの洗浄から熱分解、そして減容化・資源化までのプロセス実証を開始します。

生成された炭や資源を、島のベンチやアート作品として活用する「地産地消のアップサイクル」の実現に向け、具体的な検証を進めていきます。

未来を共に創るパートナーへ――「ゴミ拾い」が「宝拾い」になる世界へ

小柳: 最後に、この領域に関心を持つ方へメッセージをお願いします。

田中: ゴミを資源に変える技術と仕組みが整えば、ゴミ拾いは「ボランティア」から「宝拾い」へと変わります。処理コストが上がり続ける今、市民が楽しみながら参加し、それが価値として還元される世界が必ず来ます。

JOYCLE BOXという強力なツールと共に、私たちはその未来を先取りしています。ぜひ、このワクワクする循環の輪に加わってください。

“地球規模の課題”を、足元の“1袋”から

縄文企画が掲げるのは、単なる美化活動ではありません。

人の心を動かし、行動を変容させる「ソーシャルデザイン」です。JOYCLEのテクノロジーがそこに加わることで、拾った想いは物理的な「資源」へと昇華されます。

石垣島の小さなビーチから始まった挑戦は今、海を越えて世界へ届くモデルになろうとしています。

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