静岡を基盤に、物流を起点として約200年。商流、情報システム、食品、航空など幅広い領域へ事業を広げ、約140社で構成される鈴与グループ。その商流事業を担う鈴与商事株式会社は、エネルギーや建設資材、化学品、製造現場の省人化・自動化およびスマートファクトリー提案など、総合商社としてさまざまな商材やサービスを展開しています。近年はスタートアップとの連携を強化し、新しい技術やサービスの社会実装をともに進めるパートナーを目指しています。同社 新商材開発部 部長 廣本剛三さんは、JOYCLEへの出資・連携を担当しています。
本記事では、廣本さんが見たJOYCLEの可能性、東海エリアから海外までを見据えた協業の構想について、代表・小柳裕太郎がインタビューしました。
創業200年、物流に始まる鈴与グループ
小柳:まずは、鈴与グループと鈴与商事さんについて、あらためてご紹介いただけますか。
廣本:鈴与グループは静岡を基盤とする企業グループで、祖業は物流です。そこから商流、建設、情報システム、食品、航空へと領域を広げ、創業から200年強、いまは約140社で構成される、いわゆるコングロマリットのようなかたちになっています。
そのなかで鈴与商事は、鈴与株式会社の販売部門から独立した会社です。もともとはエネルギーを中心に扱い、建設資材や化学品、製造業のお客様向けの原料や工場のファクトリーオートメーションなど、お客様の周りにある課題を一つひとつビジネスにしてきました。BtoCではLPガスの販売を中心に、リフォームなど一般家庭に寄り添ったサービスも手がけています。
小柳:スタートアップとの接点を持ち始めたのは、いつ頃からだったのでしょうか。
廣本:本当にここ数年です。グループとして「自分たちだけで新しいことを生み出すには限界がある。外部としっかり連携して事業を作っていかなければ」という経営トップの強い思いがあり、そこからVCの方々をはじめ、さまざまな関係者と接点を持つようになりました。

「面白い会社がある、すぐ調べろ」――出会いと初号機視察
小柳:当社のことを最初に知っていただいたのは、社長が記事をご覧になったことがきっかけだったと伺いました。
廣本:三谷産業さんがイノベーション情報誌を出されていますよね。そこに小柳さんが受賞されたときの記事が載っていて、そのページのコピーが回ってきたんです。「面白い会社があるからすぐ調べろ」と。それでお付き合いのあるVCの方にご紹介をお願いして、つないでいただいたのが最初でした。トップが一番ソーシングしているかもしれません(笑)。
小柳:初号機は当時、名古屋にありました。視察の初動がとても早かった印象があります。
廣本:当社の社長もエンジニア出身で、百聞は一見に如かず、とにかくこの目で見て確認したいということで、僅かな時間しか滞在できないスケジュールでしたが、実機を見せていただいて「面白いプロダクトだ」と。名古屋駅から距離がありましたから、移動時間の方がはるかに長かったことを覚えています(笑)。
社会課題解決へ――俯瞰された循環型モデルへの共感
小柳:鈴与商事さんは、スタートアップ投資にどのように向き合っていらっしゃるのでしょうか。
廣本:当社は純粋な事業会社で、CVCの形も取っていません。事業連携がベースで、出資ありきではないのですが、出資することでより深い協業につながり、その会社の事業成長が加速するのであれば、出資も含めて検討する、というスタンスです。
小柳:当社への出資にあたっては、どのような点を評価いただいたのでしょうか。
廣本:まず、トップも含めてサーキュラーエコノミーへの関心が非常に高く、社会課題の解決やインパクトをテーマにするスタートアップには興味があります。そのうえで、廃棄物の減容やアップサイクルだけでなく、インフラの老朽化やドライバー不足といった横断的な課題まで俯瞰し、循環型のビジネスを描かれている。単体のサービスで片手落ちになりがちなところを、社会課題全体を見渡して組み立てている。その視点に大きな可能性を感じました。

物流という、事業継続の要
小柳:様々な事業を展開する鈴与商事さんにとっても、「運ぶ」という機能は必要不可欠なものだと思います。ドライバー不足の深刻さを、どの程度実感されていますか。
廣本:商社の立場でも、近年デリバリーの柔軟性が低下しているのを感じます。働き方改革など時代の要請による今の社会の動きは必要なものですが、配車・配船は以前に比べ難しくなっており、これまで通りのやり方を続けることはできなくなっていると思います。共同配送などの動きは増えてきていますが、DXや自動運転なども活用しながら、運ぶ側・荷主側双方が協力して持続可能な物流の仕組みを再構築していく必要があると思います。当グループもスタートアップとも連携した取り組みを進めています。
小柳:人を運びながら物も運ぶ取り組みも増えていますよね。路線バスにJOYCLE BOXを併送し、バスターミナルの近くでドライバーが廃棄物を投入する、といったアイデアも、近い将来には必要になるかもしれません。
廣本:いかに物流のリソースを効果的に活用するかは、日本全体で考えていかなければいけないテーマだと考えています。同種の配送の効率化だけでなく既存の枠組みを超えた発想が必要かもしれませんね。その点で、JOYCLE BOXが可搬型であることは大きなポイントで、既存の物流ネットワークにどう組み込めるか、という視点が重要になると思っています。

東海から、そして海外へ――これからの協業
小柳:今後の協業について、どのような構想をお持ちですか。
廣本:当社は東海エリアを中心に、廃棄物の排出側にも活用側にも幅広く接点を持っています。アカウント、物流、トレーディングといった機能を一通り備えているので、グループとしての総合力も活かしながら、それらをJOYCLEのビジネススキームにうまく組み合わせられないか。地域にもメリットのある形で、どうマネタイズしていけるか。量産化の進展を待ちながら、構想を膨らませているところです。
小柳:海外にも可能性を感じています。先月インドネシアを訪れた際、コロナ禍で医療系の廃棄物が溢れ、小型の処理設備を病院内に持ち込んでその場で対応していた事業者に出会いました。「移動しながら資源化できるなら」と関心を寄せていただいて。海外で先にレギュレーションの事例をつくり、日本へ持ち帰るような進め方も、御社のネットワークを交えれば十分にあり得ると感じています。
廣本:移動体の上での資源化は、国内ではまだ前例やルールが整っていません。だからこそ、海外の事例を活かしながら、ご一緒に道筋を描いていければと思います。
小柳:インタビューのあとに、さっそく具体的なご相談をさせてください。東海エリアでの導入候補やネットワークへの組み込みについて、ぜひ一緒に検討させていただければと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

